そろばんをやめた後、暗算は残るのか

💡 この記事の要点
  • やめた後も暗算力が残っている方がほとんどです。目標を達成してから卒業される方が多いからです。
  • ただし早い時期にやめた場合は、忘れてしまうことがあります。そろばんは言語の習得と似ています。
  • 目安は暗算2級(2ケタのかけ算)。ここまで来ると一生困らない暗算力になります。
  • 10歳より後に始めたお子さんも、3年ほど続ければしっかり身につきます。年齢で線は引きません。
  • 残るのは暗算だけではありません。最後のひとがんばりが、その後の人生に効いてきます

「そろそろ、そろばんはやめようかな」

長く続けていれば、必ず一度は頭をよぎる言葉だと思います。そして次に浮かぶのが、この問いではないでしょうか。

やめた後、あの子が身につけたものは、残るのだろうか。

こんにちは、川上スクールジャパン(KSJ)代表のたけのり先生です。指導歴25年、世界26ヶ国・770名以上のお子さんを見てきました。

「いつやめるか」を書いた記事はたくさんあります。けれど「やめた後どうなったか」を書いた記事は、ほとんど見当たりません。それは、卒業していったお子さんのその後を知っている教室が少ないからだと思います。

今日は、KSJが実際に見てきた「その後」を、正直にお伝えします。

学習机の上で教科書とペンケースに半分隠れているそろばん。しばらく使っていないが片づけられてはいない様子

私たちが「その後」を知ることができる理由

まず、なぜKSJが卒業後のことを知っているのかをお話しします。

やめた日に、ご縁が切れるわけではありません。だから「あの子は今どうしているか」が、私たちのところにも届きます。

答え:暗算力が残っている方が、ほとんどです

結論からお伝えします。そろばんをやめた後も、暗算の力が残っている方がほとんどです

理由はシンプルで、KSJの生徒さんは目標を達成してから卒業される方が多いからです。みなさん本当によく頑張りますし、「そろばんを学んで良かった」と思ってくださっている方が多いと感じています。

ただし、忘れてしまうこともあります

正直にお伝えすると、暗算ができなくなってしまった生徒さんもいます。

多いのは、次の2つのケースです。

意外に思われるかもしれません。優秀だったお子さんでも、早くやめると暗算のイメージが浮かばなくなってしまうことがあるのです。

そろばんは、言語の習得と似ています

なぜそうなるのか。私はそろばんは言語と似ていると考えています。

そろばんは、だいたい10歳ごろまで学習を続けると一生忘れないと言われています。英語も同じで、10歳ごろまで英語を話す環境にいると、その感覚は一生残ると言われているそうです。

頭の中にそろばんの珠を思い浮かべる力は、知識ではなく感覚です。だからこそ、その感覚が体に染み込む前に離れてしまうと、少しずつ薄れていってしまいます。

「ここまで続けたら残る」の目安

では、どこまで続ければよいのでしょうか。現場で感じている目安をお伝えします。

級で見るなら、暗算2級

暗算2級くらいまで合格していると、一生困らないレベルの暗算力が身につくと思います。2ケタのかけ算ができるくらいのレベルです。3ケタまでできれば、なお良しです。

年齢で見るなら、10歳が一つの区切り

小さいころから始めたお子さんは、10歳ごろまで続けると、その後もずっと身についています

10歳より後に始めたお子さんは、3年が目安です

ここが大事なところです。「もう10歳を過ぎているから手遅れなのでは」と思われた方に、はっきりお伝えします。

10歳より後に始めたお子さんも、暗算の学習を続ければしっかり身につきます。 私の感覚では、3年ほど続ければ、後から始めたお子さんもしっかり身につくと思います。

年齢で線を引く必要はありません。始めた時期がいつであっても、続けた時間がその子の中に残ります。

合格証書を両手で持つ小学生の後ろ姿と、机の上のそろばんと使い込まれた練習ノート

残るのは、暗算だけではありません

ここからは、ある生徒さんの話をさせてください。

正直なところ、KSJの中では進み具合がそこまで早くなく、どちらかといえばゆっくりな方だった生徒さんでした。

何度も、何度も、同じ級で不合格になりました。本人も、保護者さまも、そして私たち講師も、何度も心が折れかけました

それでもみんなでサポートを続けて、その子は小学校を卒業する前に1級に合格しました

そして今、その子の目標を聞いて、私は胸がいっぱいになりました。

そろばんの先生になること。

とても上手な人が先生になるのも、もちろん素敵なことです。でも私は、たくさんの苦労を乗り越えてきた生徒さんのほうが、子どもたちに寄り添える素晴らしい先生になると思っています。

この気持ちが続いてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

何度も落ちた経験は、無駄ではありませんでした。むしろその子にとって、いちばん大きなものが残ったのだと思います。

ゆっくり進むお子さんの話は、入門に1年半かかった子が暗算2級になるまででもご紹介しています。

KSJが引き止めるのは、2つの場合だけです

やめるときのお話もしておきます。

KSJでは基本的に、保護者さまからご連絡をいただきます。理由はさまざまですので、やめたいと言われたら、そのまま引き止めることはありません

ただし、2つの場合だけは引き止めます。

1. 検定に不合格だった直後

このときは、次の検定までの練習の予定を一緒に決めます。悔しい気持ちのまま終わってほしくないからです。

検定に落ちたときのご家庭での接し方は、そろばん検定に落ちた日、親は何も言わなくて大丈夫にまとめています。

2. 難しくなってやる気が下がったとき

このときは、そのお子さんの得意なところに合わせたプリントを用意します。今できることから、もう一度積み直します

なぜこの2つだけ引き止めるのか。途中で諦めてほしくないからです。そして、せっかくそろばんを学んだのですから、しっかりとした暗算力を持って卒業してほしいからです。

ですので日ごろから保護者さまには、「〇級まで」「〇歳までは頑張りましょう」とお伝えしています。

スーパーの棚の値札を見上げて暗算している子どもと、買い物かごを持って隣を歩く保護者

やめた後、暗算を保つ方法

卒業されたご家庭にお伝えしているのは、たった一つです。

普段の生活で、暗算を使ってください。

数字を見たら、とにかく暗算です(笑)。

普段の生活に、数字はたくさんあります。見たら計算するクセをつけると、これが面白いのです。親子で競争しても盛り上がります。

やめるなら、区切りをつけてほしいのです

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。

やめることは、決して悪いことではありません。 他のことに興味を持って挑戦するのも、素晴らしい経験です。

ただ、やめるのであれば、何かの区切りをつけてほしいと思っています。

何かの区切りを目標にして、最後にひとがんばりしてから卒業してくれたら、本当に嬉しいです。

そしてその最後のひとがんばりは、他の習い事や勉強に、必ず生かされます

やめる時期そのものについては、そろばんのやめどきはいつかで詳しくお話ししています。

壁が何度も来るのは、そろばんだけではありません

最後に、いま迷っていらっしゃる方へ。

「そろばんをやめようかな」と思うことは、長く続けていれば何度もあることです。検定に落ちたとき、壁にぶつかったとき。そう思うのが普通です。

でもそれは、そろばんだけの話ではありません。これから生きていけば、どんなことにも待っていることだと思います。

そろばんは、進級するたびに壁が現れます。それを乗り越えたら、また大きな壁が現れます。激しくぶつかっても壊れなかったり、保護者さまや先生のサポートがあって乗り越えられたり。そしてそれによって、自信が身についていきます。

暗算力を身につけるほかにも、これからの人生で起こることが凝縮されている習いごとだと思っています。

そういうものを身につけられる習いごとは、そう多くありません。もう一度よく考えて、どうするか判断していただけたらと思います。

中学生・高校生になってからの続け方は、そろばんは中学生・高校生になっても続けられるのかでご紹介しています。

よくあるご質問

やめた後、暗算力はどのくらい残りますか?

目標を達成してから卒業された方は、ほとんどの場合しっかり残っています。目安は暗算2級(2ケタのかけ算)です。

早くやめると忘れてしまうのですか?

早い段階でやめた場合、暗算のイメージが浮かばなくなることがあります。そろばんは言語の習得と似ていて、感覚が体に染み込むまで時間が必要だからです。

10歳を過ぎてから始めても間に合いますか?

間に合います。10歳より後に始めたお子さんも、3年ほど続ければしっかり身につきます。年齢で線を引く必要はありません。

やめるとき、引き止められますか?

基本的に引き止めることはありません。ただし検定に不合格だった直後と、難しくなってやる気が下がっているときだけは、もう少し続けてみませんかとお伝えしています。

やめた後、家庭でできることはありますか?

普段の生活で暗算を使ってください。買い物の合計金額、ガソリンの価格、車のナンバー。数字を見たら計算するクセをつけると、暗算力は保たれます。

最後まで見届けます

KSJは、始めるときだけでなく卒業するときまで一緒に考える教室でありたいと思っています。

お子さんに合うかどうか、まずは無料体験でご覧ください。Zoomでお子さん一人に先生が一人、所要は30分ほどです。その場で入会を決める必要はありません。