珠算と暗算の違い|どっちから始める?770名指導の講師が解説【2026年】

珠算と暗算の両方を学ぶ子どものイラスト|珠算と暗算の違い

「珠算と暗算って、どっちを先に習わせるべき?」
「そもそも、この2つって何が違うの?」

お子さんにそろばんを検討している保護者の方から、こうしたご相談をよくいただきます。

結論からお伝えします。
答えは「同時に始める」です。

「珠算を先にマスターしてから暗算へ」という考え方は、今の現場ではもう時代遅れです。日本のトップクラスの教室は、珠算の基礎を覚えたら暗算も同時にスタートするのが一般的になっています。

5年半で1,200名以上、現在770名(国内490名・海外280名、26ヶ国)の生徒を指導してきた川上スクールジャパン(KSJ)のたけのり先生が、珠算と暗算の違い、最新の正しい始め方、継続年数別の目標級までを、指導現場の一次情報とともに解説します。

この記事でわかること:

珠算と暗算、何がどう違う?一目でわかる比較表

まず、「珠算」と「暗算」を正しく理解するところから始めましょう。

多くの保護者の方が見落としているポイントがあります。
「暗算」には2種類ある、ということです。

項目珠算(そろばん計算)珠算式暗算筆算式暗算
道具そろばんを使う使わない使わない
脳の使い方手と目で珠を操作頭の中でそろばんをイメージ頭の中で筆算
主に使う脳全体を刺激右脳優位(イメージ処理)左脳優位(言語処理)
習得期間の目安基礎は半年〜1年イメージ定着に3〜6ヶ月比較的早く慣れる
計算速度中〜速い非常に速い桁数が増えると遅くなる
主に使う場面練習・検定実生活・試験・検定学校の算数

ポイントは、「珠算式暗算」と「筆算式暗算」の違いです。

一般に「暗算」と呼ばれる計算には、頭の中にそろばんをイメージして計算する「珠算式暗算」と、頭の中に筆算の縦書きをイメージして計算する「筆算式暗算」の2種類があります。

そろばん教室で目指すのは、前者の珠算式暗算です。これが「桁数が増えても計算が速い子」の正体です。

珠算式暗算 vs 筆算式暗算|脳の使い方が根本的に違う

なぜ珠算式暗算は、筆算式暗算より圧倒的に速いのでしょうか。

理由は脳の処理の仕方が根本的に違うからです。

研究データ①:β波が右後頭部優位に

元日本医科大学の河野貴美子博士の研究では、珠算有段者が暗算を行っているときの脳波を測定したところ、一般の人とは全く違うパターンが確認されました。

つまり珠算式暗算は、「数字を言葉として処理する」のではなく、「そろばんの映像として処理する」計算方法なのです。

研究データ②:並列処理のしくみ

早稲田大学理工学術院の村田昇教授らの研究では、珠算式暗算は一般的な計算とは異なる「並列処理」に近い脳の働きをしていることが示されています。特に5〜10歳の連合野(脳の統合部位)が発達する時期に珠算を始めると、この処理機構が定着しやすいと報告されています。

覚える量が6分の1になる

たとえば「17+9」のような繰り上がりの計算。

覚える量が約6分の1。これが計算速度の差の正体です。

珠算式暗算で右脳をイメージ活用する脳のイラスト

💡 暗算力がつく脳のしくみについては、そろばんで暗算力がつく理由|脳科学から見た5つの効果で詳しく解説しています。

時代遅れの常識「珠算→暗算の切替」|今は同時スタートが正解

ここが、この記事で最も大切な部分です。

多くの情報源では、「珠算を十分マスターしてから暗算に進む」という順序で書かれています。

しかし、これは今の現場では時代遅れの考え方です。

珠算だけ先に進めるとどうなるか

そろばんである程度計算できるようになった子に暗算を教え始めると、多くの子が頭の中で筆算式の計算をしてしまいます。「頭の中に筆算を書いて計算する」感覚が先に染みついてしまうためです。

そうなると、せっかくそろばんで得られるはずの「珠算式暗算」に切り替えるのが非常に困難になります。

だから「同時スタート」が正解

私(たけのり先生)が25年の指導経験の中で見えてきたのは、

珠算式暗算は、できるだけ早く訓練を始めるほど定着しやすい

という事実です。日本のトップクラスの教室は、もうほぼ例外なく、珠算の基礎ができた時点で暗算練習を同時にスタートさせています。

頭にそろばんがイメージできるまでの期間

暗算練習を始めてから3ヶ月〜6ヶ月で、頭の中にそろばんがイメージできるようになるのが一般的な目安です。

ただし条件があります。
毎日10分でも練習を続けること。

週1回のレッスンだけではイメージが定着しにくいです。短時間でも毎日触れることが、珠算式暗算の定着の決め手になります。

💡 そろばんの効果がいつから出るかについては、そろばんの効果はいつから出る?770名データで見る3ヶ月〜2年の成長タイムラインで、さらに詳しいデータをまとめています。

家庭でできる「同時スタート」の実践ガイド

「じゃあ、具体的にどう進めればいいの?」
保護者の方が次に知りたいのは、実践の中身ですよね。

KSJが770名の指導の現場で続けている、家庭での進め方をそのまま共有します。

暗算を始める目安は「2桁の繰り上がり・100までの計算」

この2つがクリアできたら、暗算の練習を同時に始めていきます。珠算の基礎が身についていることが大前提です。ここが崩れていると、暗算に進んでも計算方法そのものが曖昧なままになってしまいます。

家庭練習は「先に進まず繰り返す」

多くのご家庭がやってしまいがちなのが、「次に進ませよう」として新しい問題ばかり与えてしまうこと。

KSJがおすすめするのは、むしろ逆です。

初めのうちはそろばん練習を多めにして、計算方法そのものを体に覚え込ませます。級が上がってきたら、徐々に暗算練習がメインになっていきます。

3〜6ヶ月は「何も言わない」のが正解

頭の中にそろばんがイメージできるようになるまでの3〜6ヶ月間、保護者の方に意識してほしいことは1つだけ。

「何も言わない。取り組んでいたら褒める。」

「もっと早くできないの?」「まだイメージできないの?」という声かけは逆効果です。

大切なのは毎日取り組む習慣を作ること。習慣さえ身についてしまえば、後からぐんぐん伸びていきます。

自宅でそろばん練習を10分続ける子どもと見守る親のイラスト

珠算検定と暗算検定|継続年数で考える目標設定

保護者の方からよく聞かれる質問です。
「何級まで取らせればいいの?」

KSJでは、学年別ではなく、継続年数別で目標を考えることをおすすめしています。

理由は、学年別にすると海外の生徒(算数カリキュラムが国によって違う)にも、年長や大人の生徒にも適用できないからです。継続年数なら誰にでも当てはまります。

KSJの継続年数別 目標級の目安

継続年数珠算の目標級暗算の目標級
1年目珠算7級暗算6級
2年目珠算4級暗算3級
3年目珠算2級暗算1級

お気づきの方もいるかもしれません。
暗算の方が珠算より級が先行しています。

なぜKSJでは暗算が珠算より先行するのか

KSJは小さな生徒が多く、そろばんを扱うときの手先がまだ発達途中の子も少なくありません。計算の途中でそろばんがグラグラしたり、珠を強く弾きすぎて答えが狂ったりします。

一方、暗算はそろばん本体が不要なため、計算力さえ身についていれば、物理的な不器用さに足を引っ張られず、どんどん進級していきます。

結果として、KSJの現場では暗算が珠算より1〜2級先行する生徒がほとんどという状況になっています。

KSJが使う2つの検定

  1. 日本計算技能連盟の検定 — オンラインで受験可能な唯一の連盟。海外在住の生徒もZoomで受験できます
  2. 日本珠算連盟(日珠連)の検定 — 年3回、全国各地の会場で実施

💡 そろばん教室選びで失敗しない基準は、そろばん教室の選び方|失敗しない5つのポイントにまとめています。

オンラインそろばんで珠算と暗算を両立する方法|KSJ770名の実践

「オンラインで本当に珠算と暗算が両方身につくの?」
これもよくいただく質問です。

結論から言えば、オンラインの方がむしろ指導しやすいというのがKSJの実感です。

オンラインは「手元が見える」

Zoom越しのレッスンでは、生徒にそろばんをカメラに映してもらうことで、通学教室より手元がバッチリ見えるのです。珠の動かし方のクセも、指の入れ方も、画面越しに細かくチェックできます。

通学教室のように「先生が一人ずつ机を回る」のと違って、オンラインは常に先生の目の前に1人ずつ映るので、むしろ密度の濃い指導ができます。

24時間対応で世界中の子どもに届く

KSJは午前中も午後も深夜もレッスンを行っています。各地域の夕方の時間に合わせてレッスン時間を設定しているため、時差は問題になりません

海外生徒の実例:イギリス・アメリカ

🇬🇧 イギリスの生徒:渡英直後は環境の変化で毎回のレッスンで暴れてしまっていましたが、2年間そろばんを続けた結果、珠算1級・暗算1級の両方に合格しました。

🇺🇸 アメリカの生徒:「算数がとても苦手」と入会したお子さんが、1年間そろばんを続けた結果、現地の学校の計算力テストでクラス1位になり表彰されました。

これらは26ヶ国の生徒の中のほんの一例です。

毎朝80名分のLINE添削で習慣化をサポート

同時スタートで最も大切なのは、毎日の家庭練習の習慣です。

KSJでは生徒ひとりひとりに専用の問題を作成し、毎日取り組んだら写真を撮って送ってもらい、それを私(たけのり先生)が採点して返信しています。

毎朝80名分のLINEが届きます。朝はずっとLINEが鳴り響いていますが(笑)、この仕組みがあるから、子どもたちは「毎日やる習慣」が自然に身についていきます。

世界26ヶ国の子どもがオンラインでそろばんを学ぶイラスト

よくある質問(FAQ)

Q1. 大人からでも珠算式暗算は習得できますか?

正直に申し上げて、大人から始めて珠算式暗算(頭にそろばんが浮かぶレベル)を身につけるのは難しいのが実情です。珠算式暗算は子どものうちに始めた方が定着しやすいと言われています。

ただし、大人のそろばん学習そのものには大きな意味があります。計算が速くなるのはもちろん、脳のトレーニングとして非常に有効です。

私の父は65歳でそろばんを始め、その後脳梗塞で一部の神経が失われました。それでも毎日そろばんの練習を続けていたところ、失われていた神経が再びつながっていきました。そろばんが直接的な原因かどうかまでは分かりませんが、実際に大きな変化があったのは事実です。

大人の方は、暗算力よりも「脳のトレーニング」としてのそろばんを目的にするのがおすすめです。

Q2. フラッシュ暗算は珠算式暗算と同じですか?

フラッシュ暗算は、画面に数字が次々と表示される形式の珠算式暗算の訓練プログラムです。珠算式暗算が身についた生徒が、そのスピードや精度をさらに高めるために使います。別物ではなく、珠算式暗算の一形態です。

Q3. 何歳から珠算と暗算を始めるのがベストですか?

年齢に関係なく「できるだけ早く」が答えです。KSJには3歳から通っている生徒もいます。特に、小学校で算数が始まると筆算式の考え方が染みついていくため、それより前、または同時並行で珠算式暗算を始めるのが理想です。

Q4. そろばんをやめたら暗算力は消えますか?

一度身についた珠算式暗算は、基本的にはすぐには消えません。ただし、続ければさらに伸びますし、やめると徐々に速度や精度が落ちていくのは事実です。できれば珠算1級・暗算1級を取るところまでは続けることをおすすめします。

Q5. 海外在住でもオンラインで珠算と暗算を両立できますか?

はい、可能です。KSJには26ヶ国の生徒がおり、同じ指導法で珠算と暗算の両方を伸ばしています。検定もオンラインで受けられる連盟があるため、国内の生徒と同じペースで級を取得できます。

まとめ

珠算と暗算の違いを、KSJの770名指導の現場から解説してきました。最後に大切なポイントを3つ整理します。

川上スクールジャパン(KSJ)では、無料体験レッスンを随時受け付けています。オンラインなので、全国どこからでも、海外からでもご参加いただけます。

「本当にオンラインで珠算と暗算が両方身につくの?」という疑問は、まず一度体験してから判断してください。

▼ 無料体験レッスンのお申し込みはこちら
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