入門に1年半かかった子が、暗算2級になるまで|「うちの子だけ遅い」と思っている方へ

- KSJの入門期間は平均4ヶ月ほどですが、1年半かかった生徒がいます。
- その子は入門を終えたあと、1年半で暗算2級まで進みました。
- 転換点は「時間を計る練習」に入ったこと。本人が自分で「このままでは合格点に届かない」と気づいた瞬間でした。
- ゆっくりだった時間は、遅れではなく土台をつくる時間でした。
「うちの子、まわりよりずいぶん時間がかかっている気がする」
そんなふうに感じている保護者の方に、今日はひとりの生徒さんの話をさせてください。
こんにちは、川上スクールジャパン(KSJ)代表のたけのり先生です。指導歴25年、世界26ヶ国・770名以上のお子さんを見てきました。これからお話しするのは、入門に1年半かかった男の子の物語です。
KSJの入門は、平均4ヶ月ほどで終わります
KSJでは、入門の期間はおおよそ4ヶ月が目安です。入門というのは、そろばんの珠の置き方、指の動かし方といった、いちばん最初の基礎を身につける期間のことです。ここを終えると10級に進み、いよいよ級を目指す練習が始まります。
ただ、この期間には個人差があります。2〜3ヶ月で終わる子もいれば、半年かかる子もいます。KSJでは入門のあいだは時間を計りません。その子のペースで、しっかり覚えることを最優先にしています。
そんな中で、1年半かかった男の子がいました。
「お兄ちゃんは3ヶ月だったのに」
その子には、同じKSJでそろばんを習っているお兄ちゃんがいました。お兄ちゃんは、3ヶ月くらいで入門を終えていました。
同じ家庭の、同じ環境で育った兄弟です。保護者の方が「ちょっと遅いな……」と感じたのは、無理のないことだと思います。
それでもお母さんは、こうおっしゃっていました。
「一人ひとり違うから、いいかな〜と思って」
そう言って、優しく見守り続けてくださいました。
60分のレッスンのうち、40分は先生を見つめていました
正直にお伝えすると、その1年半、彼はいつも集中していたわけではありません。
60分のレッスンのうち、40分くらい先生の顔をじーっと見つめている——そんな時間もありました(笑)。
もちろん、私たちも心配になることはありました。保護者の方も、内心はやきもきされていたと思います。それでも私は、こうお伝えし続けました。
「そろばんは、しっかり覚えれば、あとから伸びますから」
急がせないこと。ここを飛ばさないこと。それだけをお願いして、1年半、一緒に続けてもらいました。
転換点は、「時間を計る」練習が始まったとき

彼が変わったのは、入門を終えて10級に進んだときでした。KSJでは、入門のあいだは時間を計りませんが、10級に進むと、ほかの級の生徒と同じように時間を計って練習します。
ここで、彼の中で何かが動きました。
「自分のペースでやっていたら、合格点数に届かない」
そう、自分で気づいたのです。私が言ったのでも、お母さんが言ったのでもありません。彼自身が、練習の中で気づきました。そこから、急ぐこと、速く計算することへの意識が、少しずつ身についていきました。
そして、1年半で暗算2級へ

意識が変わってからの彼は、驚くほど進みました。
入門に1年半。そこから暗算2級まで、また1年半。あれだけゆっくりだった子が、同じ時間で級をどんどん駆け上がっていったのです。
今になって思うのは、あの1年半は遅れていたのではなく、土台をつくっていた時間だったということです。基礎をあいまいなまま急いでいたら、あとで必ずどこかで止まっていました。
彼は今も続けています。1級に合格して、次は段位を目標にしています。物語は、まだ終わっていません。級や段位のしくみについては、そろばん検定のしくみと級・段位の受け方でくわしくお話ししています。
たけのり先生から、焦っている保護者の方へ
最後に、いま「うちの子だけ遅い」と感じている方に、お伝えしたいことがあります。
最近はさまざまな情報が溢れすぎていて、どうしても他の子に目が行きがちです。実際、すごい子も多いかもしれません。でも、その子たちは自分のお子さんではありません。
自分のお子さんが、昨日より今日できたら、それで素晴らしいと思ってください。
焦らなくて大丈夫です。ゆっくりでも確実に前進していれば、いつか急に加速するときがやってきます。そのときは、保護者の皆さまも、いつもよりたくさん喜んでください。
そして、これだけは覚えていてください。
いつも、目の前のお子さんから目を離したらダメですよ。
比べる相手は、他の子ではありません。昨日のお子さん自身です。そろばんが続くかどうか不安な方は、そろばんが続かない子と続く子の3つの違いでもお話ししています。
よくあるご質問(FAQ)
Q. そろばんの入門にはどれくらいかかりますか?
KSJではおおよそ4ヶ月が目安ですが、個人差があります。2〜3ヶ月の子もいれば、1年半かかった子もいます。入門のあいだは時間を計らず、その子のペースで進めます。
Q. 兄弟で進み方が違うのですが、大丈夫でしょうか?
まったく問題ありません。この記事の男の子も、お兄ちゃんは3ヶ月、本人は1年半でした。その後1年半で暗算2級まで進み、今は1級に合格して段位を目指しています。
Q. 入門が長いと、その後も遅いままですか?
そんなことはありません。基礎をしっかり固めた子ほど、あとから加速することが多いです。急いで先に進むより、確実に覚えることを優先しています。
Q. 子どもが集中できていないようで心配です。
小さなお子さんは、集中が続かない時期があって当たり前です。この記事の男の子も、60分のうち40分は先生を見つめている日がありました。それでも、続けていれば必ず変わるときが来ます。


