海外で子どもの日本語が抜けていく。「忘れたかも」と思った日にできること

💡 この記事の要点
  • 子どもは覚えるのも早いですが、忘れるのも早いです。でも完全に忘れることはありません
  • 「少し忘れているかも」と思ったときに、何か始めれば十分に間に合います。
  • 海外では日本語を学ぶなら日本の習いごとをとすすめられることがあります。
  • 多くのお子さんは親御さんとしか日本語を話しません。第三者と日本語で話す時間が貴重です。
  • 現地の言葉を大切にしたままで大丈夫です。両方できることが、この先の強みになります。

「あれ、今の日本語……ちょっとおかしかったかも」

海外で暮らしていると、ある日ふと気づく瞬間があります。返事が単語だけになっている。こちらが日本語で聞いたのに、現地の言葉で返ってくる。前は言えていた言葉が、出てこない。

こんにちは、川上スクールジャパン(KSJ)代表のたけのり先生です。指導歴25年、世界26ヶ国・770名以上のお子さんを見てきました。

今日は「もう忘れかけているかもしれない」と焦っていらっしゃる方に向けて書きます。先に結論をお伝えします。

まだ間に合います。そして、完全に忘れることはありません。

海外の自宅のテーブルで、現地の学校のノートと日本語の絵本が少し離れて置かれている様子と子どもの後ろ姿

日本語が抜けていくのは、お子さんのせいではありません

まず知っていただきたいことがあります。

現地の学校に通っていて、まわりに日本のお友達がいない。この環境では、日本語を忘れていくのはごく自然なことです。お子さんの努力が足りないわけでも、ご家庭の関わり方が悪いわけでもありません。

実際、KSJに通ってくださっている海外のご家庭を見ていると、あることに気づきます。

多くのお子さんが、日本語を話す相手が親御さんしかいないのです。

朝起きてから寝るまで、学校でも、遊びでも、頭の中でも現地の言葉。日本語を使うのは、家に帰ってお父さんお母さんと話すときだけ。これでは、言葉が育つ場所が足りません。

海外では「日本語を学ぶなら、日本の習いごとを」と言われています

海外にお住まいの保護者さまから、こんなお話をうかがったことがあります。

補習校に通わせているけれど、日本で英語を教えている教室と同じで、そこでネイティブの言葉が身につくかというと、少し違うと感じている方がいらっしゃるそうです。週に一度、日本語を「勉強」する時間としては素晴らしいのですが、言葉を「使う」時間とは少し性質が違うのですね。

そのため海外では、日本語を身につけたいなら日本の習いごとをするとよいとすすめられることがあるそうです。

理由はシンプルで、習いごとの時間は日本語を勉強する時間ではなく、日本語を使わないと進まない時間だからです。

そろばんのレッスンで、実際に飛び交っている日本語

では、KSJのレッスンではどんな日本語を使うことになるのか。実際の流れに沿ってご紹介します。

お気づきでしょうか。どれも「日本語の勉強」ではありません。

自分がこれから何をするのかを伝える。分からないことを言葉にする。自分の住んでいる街のことを話す。これは生きた会話です。そして、そろばんを進めるためには、どうしても必要な会話でもあります。

KSJは日本語を教えているわけではありません。日本語で、そろばんを教えています。その詳しい仕組みは、一時帰国で友達と話せなかったご家庭の話でもご紹介しています。

親以外の人と日本語で話す時間が、なぜ貴重なのか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところかもしれません。

お父さんお母さんとの会話には、いいところがたくさんあります。でも一つだけ、どうしても起きてしまうことがあります。

親は、子どもの言いたいことが分かってしまうのです。

単語だけでも通じる。少し違う言い方でも察してもらえる。だから、きちんとした文にしなくても会話が成立してしまいます。

ところが、画面の向こうの先生は察してくれません。伝わるように話さないと、そろばんが前に進まない。この「ちゃんと言わないと通じない相手」が、言葉を育てます。

オンラインレッスンの画面に向かって手を上げて自分の言葉で話す子どもと、少し離れて見守る保護者

お母さまが通訳から始めた、ある生徒さんの話

入会されたとき、そのお子さんはほとんど日本語を話せませんでした

最初のころは、お母さまが通訳をしてくださる形でレッスンを進めました。こちらが伝えたいことをお母さまが訳し、お子さんの言いたいことをお母さまが日本語にしてくださる。

正直に申し上げると、なかなか伝わらないことも、理解してもらえないこともありました。すべての会話がお母さま経由ですから、当然といえば当然です。

それでも、続けました。

1年ほど経ったころ、その子はある程度の会話を自分でできるようになっていました。

それだけではありません。自分から日本語で質問してくる場面が、どんどん増えていったのです。分からないことを、自分の言葉で聞けるようになりました。

ときどき英語が混ざった不思議な日本語になって、先生のほうが理解に苦しむこともあります。でもそれも含めて、みんなで楽しみながらレッスンをしています。

日本語が話せなくても、受け入れています

「うちの子は日本語がほとんど話せないけれど、大丈夫でしょうか」

よくいただくご質問です。KSJでは、日本語が少し苦手なお子さんには次のようにしています。

そして、これは実感としてお伝えしたいことなのですが——

「日本語が不安で……」とおっしゃって入会された海外在住の方はたくさんいらっしゃいますが、実際にはそこまで不自由することなく、レッスンを楽しんでいらっしゃいます。どうぞ安心してください。

先生のほうも、ときどき英語を交ぜながら楽しんでいますので。

海外の公園でさまざまな国の友達と一緒に走って遊ぶ子どもたちの後ろ姿

現地の言葉を、大切にしたままで大丈夫です

ここは誤解のないようにお伝えしておきたいところです。

KSJに通ってくださっている海外のご家庭の多くは、現地の言葉をしっかり話せるようになってほしいと考えていらっしゃいます。だからこそ、現地のお友達との会話をたくさんさせています。

そのうえで、自宅とそろばんの時間で、日本語を忘れないようにしている。そういうバランスのご家庭が多いのです。

どちらかを選ぶ話ではありません。現地の言葉を伸ばしながら、日本語を保つ。その日本語の置き場所として、週に何度かのそろばんの時間がある。そういう形です。

海外にお住まいのご家庭がどんなふうに学んでいるかは、世界26ヶ国から生徒が集まった物語でもご紹介しています。

「少し忘れているかも」と思った、その日でいいのです

「日本語を忘れてきたみたいなんです。どうすればいいでしょうか」——海外にお住まいの保護者の方から、いちばん多くいただくご相談です。焦って教材を増やす前に、まず知っておいていただきたいことがあります。

最後に、川上からお伝えします。

子どもたちは覚えるのも早いですが、忘れるのも早いですよね。あんなに話せていたのに、と思うことがあると思います。

でも、完全に忘れることはありません。

ですから、「少し忘れてるかも……」と思ったときに、何か取り組んでみる。それで十分だと思っています。早すぎることも、手遅れということもありません。

KSJでは、イヤでも日本語を話すことになります(笑)。そろばんを学びながら日本語も忘れずにいられる、おすすめの環境だと思っています。

そして、これだけは覚えておいてください。

複数の言葉を話せるというのは、絶対に強みになります。

今その環境にいらっしゃること自体が、とても幸せなことです。そこに幸せを感じながら、学びを続けていただけたらと願っています。

よくあるご質問

日本語をほとんど話せませんが、入れますか?

入れます。ゆっくり、簡単な言葉で話します。最初のうちは保護者さまに通訳をお願いすることもありますが、そこから自分で話せるようになったお子さんがいらっしゃいます。

どのくらいで日本語が戻ってきますか?

お子さんによりますが、ほとんど話せない状態から始めて、1年ほどである程度の会話ができるようになった例があります。焦らず続けることが何よりの近道です。

補習校に通っています。両方は多すぎませんか?

性質が違います。補習校は日本語を学ぶ時間、そろばんは日本語を使う時間です。使う場面が増えるほど、言葉は定着していきます。

現地の言葉が遅れてしまわないか心配です

ご心配はいりません。KSJの海外のご家庭は、現地のお友達との時間を大切にしながら通っていらっしゃいます。週に何度かの日本語の時間が、現地の言葉を邪魔することはありません。

時差があっても受けられますか?

受けられます。世界26ヶ国のお子さんが、それぞれの国の無理のない時間に受講しています。料金も世界中どこでも同じです。

まずは30分、日本語で話してみませんか

無料体験は、Zoomでお子さん一人に先生が一人。所要は30分ほどです。日本語が不安でも大丈夫です。その場で入会を決める必要もありません。

体験の流れは、無料体験の申し込みから当日までの流れにまとめています。