「勉強しなさい」はほぼ全員言ってる|770名の親を見てきた講師が伝える"命令の反動"と代わりの一手【2026年】
「勉強しなさい」を言わない家庭はほぼありません——でも実は 「逆効果」になる3つの理由 があります。770名の親を見てきた講師が、命令の反動を最小限にしながら子どもが 自分から動き出す「代わりの一手」 を、現場の声かけ実例とともにお伝えします。

「勉強しなさい!」と言わない家庭は、ほとんどありません。世界26ヶ国・770名以上のお子さんと、その保護者の方を25年間見てきて、たけのり先生がはっきり感じていることです。だから、もしあなたが今日も言ってしまったとしても、自分を責めなくて大丈夫です。
この記事のポイント早見表
- 「勉強しなさい」は、ほぼ全家庭が言っている普通の言葉です
- ただし、命令口調はどこかで反動が来る傾向があります(特に小学校高学年〜中学)
- 「言わない家庭」が実践しているのは「言わなくて済む環境づくり」です
- 鍵になるのは スケジュール → ルーティン化 → 自走化 の3段階モデルです
- 代わりの声かけは5つ。すべて命令ではなく提案・質問・一緒にやるの形です
ご家庭によってお子さんの性格・年齢・生活リズムは違います。「うちには合わない」と感じるものは無理に取り入れなくて大丈夫。気になる部分から、ゆっくり試してみてください。
こんにちは、川上スクールジャパン(KSJ)代表のたけのり先生です。1979年創業のKSJは47年の歴史を持ち、青森県十和田市の本校とオンライン教室で、これまで3,000名以上のお子さんを見守ってきました。私自身は指導歴25年、現在は世界26ヶ国・770名以上のお子さんと、その保護者の方と毎日やり取りをしています。
KSJの朝は、約80件の「朝練のLINE」から始まります。練習したそろばんのプリントをお子さんが写真で送ってくれて、私はひとつずつ採点して返信する——その繰り返しの中で、保護者の方からは「勉強しなさいと言いすぎて、嫌われそうで怖いです」「言わないと本当にやらないんです」というご相談を、本当によくいただきます。
この記事では、25年・770名の現場で見えた「勉強しなさい」をめぐる本当のところを、できるだけ正直にお伝えします。先に結論をお伝えすると、「言わないようにする」のはとても難しいです。私自身、未だに言いたくなる瞬間があります。だから目指すゴールは「言わない」ではなく、「言わなくて済む環境を、少しずつ作っていく」こと。その具体的な手順を、3万字でじっくり書きました。お子さんに合いそうな部分だけ拾い読みでも大丈夫です。
「勉強しなさい」はほぼすべての家庭が言っている

記事の最初に、いちばん大事なことをお伝えします。
「勉強しなさい」と言わない家庭は、本当に少数です。KSJで25年間、世界26ヶ国・770名以上のお子さんと、その保護者の方を見てきて、たけのり先生がはっきり感じていることです。むしろ、ほとんどすべてのご家庭で、毎日のように「勉強しなさい」「宿題やった?」「いつまでゲームやってるの?」という言葉が飛び交っています。
だから、もしあなたが今日も「勉強しなさい!」と言ってしまったとしても——お子さんが反抗的な顔をして、ちょっと胸が痛んで、寝る前にスマホで「勉強しなさい 逆効果」と検索してこの記事にたどり着いたのだとしても——どうか自分を責めないでください。あなたは、決して悪い親ではありません。
なぜみんな「勉強しなさい」と言ってしまうのか
言ってしまう理由は、シンプルです。親が、お子さんの将来を真剣に考えているからです。
「将来困らないでほしい」「勉強しないと選択肢が狭まる」「自分が後悔した道を、子どもには歩んでほしくない」——その想いが、毎朝・毎晩のあの言葉になっています。愛情がないご家庭ほど、むしろ無関心で何も言いません。「勉強しなさい」と言える親御さんは、お子さんに真剣に向き合っている証拠です。
ただ、ここからが少し難しいところで——その「愛情からの言葉」が、お子さんには「ただの命令」として届いてしまうことがあります。届き方のすれ違いが、親子のあいだに少しずつ溝を作っていく。これが「勉強しなさい」問題の本当の正体です。
KSJで「言わなくなった家庭」はどれくらいある?
正直にお話しすると、KSJの770名の保護者の方の中でも、「うちは勉強しなさいと一切言いません」というご家庭は、ほんの一握りです。それも「最初からまったく言っていない」のではなく、ほとんどが「以前は言っていたけれど、今は言わなくて済むようになった」というご家庭です。
つまり、「言わない」のは元々の性質ではなく、少しずつ作っていく状態です。これがわかると、肩の力が一気に抜けると思います。今日言ってしまったあなたも、これから少しずつ「言わなくて済む環境」を作っていけば、いつか同じ場所にたどり着けます。
その「環境づくり」の具体的な手順を、この記事の後半で詳しくお伝えします。
朝練LINEから見える、保護者の本音
KSJの朝は、約80件の「朝練LINE」から始まります。お子さんが解いたそろばんのプリントを写真で送ってくれて、私が採点して返信する——その流れの中で、保護者の方からも本音のメッセージが届きます。
「今朝も『勉強しなさい』を10回くらい言いました。自己嫌悪です」
「言いたくないのに、毎晩怒鳴ってしまいます」
「言わないと本当にやらないんです。どうしたらいいですか」
「上の子には言わなかったのに、下の子にはついキツく当たってしまいます」
こういうご相談を、本当に毎日のように受け取ります。これだけ多くの保護者の方が同じことで悩んでいる——この事実だけでも、「自分だけがダメな親」と感じる必要はないと言えます。悩む親ほど、子のことを考えている親です。それは、たけのり先生からこの記事を読んでくださっている全員にお伝えしたい、最初のメッセージです。
では、なぜ「勉強しなさい」が逆効果になるのか。命令口調にはどんな反動があるのか。次の章で、現場で見てきた具体的な仕組みをお話しします。
なぜ「勉強しなさい」が逆効果なのか|命令の反動という現象

たけのり先生が25年・770名の現場で見てきて、ひとつだけ断言できることがあります。
命令口調は、どこかで必ず反動が来ます。
小さな子は、まだ命令でもよく言うことを聞きます。年中・年長さんくらいなら「お風呂入りなさい」「ご飯食べなさい」「勉強しなさい」と言えば、しぶしぶでも従ってくれることが多いです。でも、お子さんが成長するにつれて、この「命令で動かす」やり方は少しずつ効かなくなっていきます。そして、ある日突然——多くは小学校高学年から中学生のあいだに——「もうやらない」「うるさい」「ほっといて」と爆発するタイミングが来ます。
この章では、なぜそうなるのかを、心理の仕組みと現場の実例の両方からお伝えします。
「命令されたら嫌」は大人も同じ
少し想像してみてください。職場で上司が、毎朝あなたに「早く仕事しなさい!」「ちゃんと提出しなさい!」「あといくつ残ってるの?」と命令口調で言ってきたら、どんな気持ちになるでしょうか。同じ内容でも、「あの件、進み具合どう?」「期日まであと少しだね、何か手伝えることある?」と言われた方が、ずっと気持ちよく動けるはずです。
大人でもそうなのです。命令されると、内容の正しさとは別に「やらされている感」が強くなり、心がブレーキを踏みます。お子さんも同じ。むしろ、お子さんの方が「自分でやりたい」気持ちが強いことも多いです。「今やろうと思ってたのに、言われたらやる気なくなった」——あの感覚は、大人だけのものではありません。
命令の3つの副作用
770名の現場で見えた、命令口調が積み重なった時に起きやすい3つの副作用です。
- 副作用①「やらされ感」が定着する:勉強=親に言われてやるもの、というイメージが固定化されます。すると、親が見ていない時はやらなくなります
- 副作用②「言われないと動かない子」になる:命令で動く習慣がついた子は、命令がないと動けません。中学生・高校生になっても、親が指示しないと机に向かわない状態が続きます
- 副作用③ 反抗期に爆発する:小さい頃に溜まった「やらされ感」が、思春期にまとめて出ます。これがいちばん深刻で、親子関係そのものが揺らぐこともあります
3つともゆるやかに進んでいくので、最初の頃は「うちの子は素直に聞くから大丈夫」と感じます。実際、低学年のうちは命令でもまあまあ動いてくれます。でも、それは「効いている」のではなく、「まだ反動が出ていないだけ」のことも多いです。これを知っているか知っていないかで、これから先の数年がだいぶ変わります。
小5〜中2で起きやすい「言葉の効かなくなる時期」
たけのり先生の現場感覚では、命令の反動が出はじめるタイミングは、おおよそ小学5年生〜中学2年生のあいだです。もちろん個人差がありますし、もっと早い子も遅い子もいますが、ご相談のピークはこのあたりに集中しています。
この時期のお子さんは、急に「自分の意思」を主張するようになります。今までは親の言葉が「世界のルール」だったのが、自分の中の「やりたい・やりたくない」の方が強くなる。そうなった時に、これまでの命令口調がまったく通じなくなって、保護者の方は「あれ?うちの子、急に変わった」と感じるのです。
でも、お子さんが急に変わったのではなく、小さな頃から少しずつ積み重なっていた「やらされ感」が、ここで一気に表面化しているだけ、ということが多いです。これを防ぐには、できるだけ早い段階から命令口調を減らしていく。お子さんが小さいうちから、「やらされる」ではなく「自分で決めてやる」感覚を育てておくことが大切です。
命令しても「効いている」ように見えるのはなぜ?
「うちの子は命令しても素直にやるから、大丈夫だと思います」——よくいただくお言葉です。これ自体は、本当にありがたいことです。素直なお子さんは、それだけで才能です。
ただ、その「素直さ」の中身を少し見つめてみてください。お子さんは、命令された内容に納得して動いているでしょうか。それとも、ただ怒られたくないから、親を悲しませたくないから、しぶしぶ動いているでしょうか。後者だとすると、いつか「自分のために動いていない」ことに気づく日がやってきます。それが、思春期です。
素直なお子さんほど、内側で我慢を溜めていることがあります。だからこそ、「今は言うことを聞いているから大丈夫」ではなく、「今のうちから、少しずつ言わなくて済む形に変えていこう」と考えていただけたら、お子さんの未来の伸びしろが大きく変わります。
では、具体的にどうやって「言わなくて済む環境」を作るのか。KSJで実際に成功しているご家庭が実践している、3段階モデルを次の章でお伝えします。
「言わない家庭」が実践している3段階モデル|スケジュール→ルーティン化→自走化

ここからが、この記事の中心です。
KSJの770名の保護者の方の中で、「うちは勉強しなさいと言わなくて済んでいます」というご家庭が、ごく少数ですが確かに存在します。たけのり先生がそのご家庭の話を一人ひとり伺ってきて、共通している3段階のステップがありました。
3段階モデルの全体像
- 第1段階:スケジュール — 親が細かいスケジュールを決めて、その通りに進める時期(年中〜小学校低学年)
- 第2段階:ルーティン化 — スケジュールが体に染み込み、言われなくても動けるようになる時期(小学校3〜4年生で完成するケースが多い)
- 第3段階:自走化 — お子さん自身がスケジュールを立てて動かすようになる時期(中学生以降)
順番がとても大事です。「いきなり自分でやらせよう」と思っても、土台がないお子さんは何から始めればいいかわかりません。最初は親が一緒に作って、徐々にお子さんに渡していく——その流れが、結果として「勉強しなさい」と言わなくて済む家庭を作っていきます。
第1段階:スケジュール(年中〜小学校低学年)
たけのり先生が、あるお母さまから見せていただいた1日のスケジュールを共有します(少し簡略化しています)。
- 15:30 〜 15:50 学校から帰ってきて、おやつ&休憩
- 15:50 〜 16:20 そろばんの朝練プリント(KSJ)
- 16:20 〜 16:30 休憩(自由)
- 16:30 〜 17:00 学校の宿題
- 17:00 〜 17:50 公園で遊ぶ/お友達と遊ぶ
- 17:50 〜 18:30 お風呂・夕食準備のお手伝い
- 18:30 〜 19:30 夕食&家族の会話
- 19:30 〜 20:00 自由時間(テレビ・ゲームOK)
- 20:00 〜 20:20 明日の予習・読書
- 20:30 就寝準備
見ていただくとわかる通り、内容自体はそんなに大変ではありません。勉強の時間は1日30〜50分くらい。むしろ「公園で遊ぶ」「自由時間」もしっかり組み込まれています。ポイントは、勉強だけのスケジュールではなく、1日全体の流れを作っていることです。
このスケジュールを作る時の3つのコツがあります。
- 勉強だけでなく、遊び・休憩も一緒に組む(勉強が「義務」だけにならない)
- 時間を細かく区切る(30分単位くらいが目安、短いほど集中しやすいお子さんが多い)
- 子どもにも見せる、納得してもらう(押し付けではなく、相談して決める)
最後の「お子さんと相談して決める」が、特に大切です。一方的に決められたスケジュールは「やらされている感」を生みますが、「これでいい?」「ここは公園じゃなくてゲームがいい?」と相談しながら決めたスケジュールは、お子さんにとって「自分のスケジュール」になります。
第2段階:ルーティン化(小学校3〜4年生で多く完成)
スケジュール通りに動く生活が半年〜1年くらい続くと、お子さんの体に「この時間にはこれをする」というリズムが染み込んでいきます。これがルーティン化です。
たけのり先生がKSJで見てきたケースでは、年中・年長から始めたご家庭で、小学3〜4年生くらいでルーティン化が完成するパターンが多いです。もちろんお子さんによって早い遅いがあり、「うちは小5になってからやっと」というご家庭もあります。どちらも自然なペースなので、焦らなくて大丈夫です。
ルーティン化のサインは、こんな変化です。
- 「○時だよ」と言わなくても、自分から机に向かう
- そろばんのプリントを「やる時間だ」と認識する
- 遊びを切り上げるタイミングを自分で判断する
- たまにサボっても、翌日は元に戻る
この段階に入ると、「勉強しなさい」と言う場面が驚くほど減ります。親は「次は○○の時間だね」「もう○分経ったよ」と軽く声をかけるだけで、お子さんが自然に動きます。命令ではなく、時間の案内係に近い役割になっていきます。
第3段階:自走化(中学生以降)
第2段階のルーティンが定着し、お子さんが「自分の生活の時間配分」を体感的にわかってくると、次の段階に進みます。それが自走化です。
この段階のお子さんは、親が作ったスケジュールではなく、自分でスケジュールを立てて動かすようになります。「今日はテスト前だから、いつもより勉強長めにしよう」「明日は試合だから、今日は早めに寝よう」と、自分で判断して調整する。中学生くらいから少しずつ始まり、高校生になるとほぼ完成するご家庭が多いです。
この段階の保護者の方の役割は、「サポーター」です。お子さんが立てたスケジュールを応援する。困った時に相談に乗る。健康面を気にかける。命令する必要は、ほぼなくなっています。
3段階モデルが上手くいく家庭の共通点
この3段階を、無理なく進めているご家庭には、いくつか共通点があります。
- 第1段階で「完璧」を求めない:3日続いたら褒める、続かなくても責めない
- スケジュールはお子さんと一緒に作る:相談ベースで、押し付けない
- 遊び・休憩を必ず組み込む:「勉強だけの時間」にしない
- 長期視点で見る:ルーティン化に半年〜1年かかっても焦らない
- 段階を急がない:第1段階が定着する前に「自分でやらせよう」と手放さない
もちろん、お子さんの性格・年齢・ご家庭の状況によって、上手くいく形は違います。「うちには合わない」と感じる部分は、無理に取り入れなくて大丈夫です。気になるところから、少しずつ試してみてください。
そして、3段階モデルをやっていく途中でも、「勉強しなさい」と言いたくなる瞬間は必ずあります。そんな時、命令の代わりに使える言葉があると気持ちが楽になります。次の章で、たけのり先生がいつもおすすめしている5つの代わりの声かけを紹介します。
「勉強しなさい」の代わりに使える5つの声かけ

ここからは、たけのり先生が25年の指導現場で「これは効きやすい」と感じてきた声かけを、5つご紹介します。共通しているのは、命令ではなく、質問・提案・一緒にやるの形になっていることです。すべてご家庭で今日から試せます。
代わりの声かけ①「今日はどんな勉強してきたの?」
これは、たけのり先生が現役で使っている言葉の中でも、いちばん効きやすいです。「勉強しなさい」と命令する代わりに、聞くフリをして復習させる声かけです。
「今日学校で何やったの?」「算数は何の単元だった?」「漢字テストはどうだった?」と、純粋に興味を持って聞いてみてください。お子さんが説明しようとすると、自然に頭の中で授業内容を整理することになります。これが、いちばん優しい形の「復習」です。
大事なのは、答えを評価しないこと。「それで合ってる?」「間違ってない?」と試すように聞くと、せっかくの興味が「テスト」に変わってしまいます。「へえ、そうなんだ」「面白いね」と聞き役に徹するだけで十分です。
代わりの声かけ②「これってどうやるんだっけ?」
これは少し上級編で、親が分からないフリをして、お子さんに教えてもらう声かけです。教える側に立つと、人は不思議と背筋が伸びて、勉強したことを真剣に思い出します。心理学では「ラーニング・バイ・ティーチング」と呼ばれる、効果がしっかりある方法です。
たとえば「ねえ、3桁の足し算って、繰り上がりがあったらどうするんだっけ?」「漢字の『複』って、どう書くの?」と聞いてみてください。お子さんは「えっ、お母さん知らないの?」と少しドヤ顔で説明してくれます。説明しているうちに、頭の中で復習が完了している、という流れです。
「全部知ってるけど、わざとフリをしている」のがバレても問題ありません。むしろ「ママは僕に勉強してほしくて聞いてるんだな」と感じても、「教えるのは楽しい」気持ちが上回るお子さんが多いです。
代わりの声かけ③「今日も元気にがんばってきてね〜/帰ってきたら教えてね〜」
これは、たけのり先生がKSJの朝練LINEで全員に伝えている言葉です。朝、お子さんに「今日も元気にがんばってきてね」「帰ってきたら学校であったこと教えてね」と伝えるだけで、お子さんは家に帰ってから話す前提で1日を過ごします。
そして帰宅後、「今日こんなことあった!」「算数のあれ難しかった!」と話してくれる中で、自然に勉強の話題が出てきます。「ねえ、その問題ちょっとやって見せて?」と興味を持って聞けば、お子さんはむしろ嬉しそうに復習を始めます。
「勉強しなさい」と言わなくて済むコツは、勉強を「義務」ではなく「会話のネタ」にすること。学校での出来事を毎日聞いていれば、勉強の話は自然にそこに含まれてきます。
代わりの声かけ④「一緒にやろっか?」
これも強力です。KSJの教室では「そろばん親子対決」を定期的にやっていて、お母さま・お父さまが一緒にそろばんを弾くと、お子さんは驚くほど集中します。「親と一緒にやる」というだけで、勉強は遊びに変わります。
そろばんに限らず、漢字でも計算でも、英単語でも、「一緒にやろっか?」は使えます。「ママも勉強したいから、漢字10問テスト出してくれる?」「パパも計算が遅いから、一緒に競争しよう」と提案してみてください。「やらされている」感が、「一緒に楽しんでいる」感に変わります。
もちろん、親も毎日付き合うのは大変です。だから「週に2回」「夕食前の10分だけ」など、無理のないペースで構いません。一緒にやる時間を作ること自体が、お子さんへの最高のメッセージになります。
代わりの声かけ⑤「ご飯までの5分やってみよっか/お風呂入る前に10分予習しよ」
最後は、時間と生活の出来事をセットにする声かけです。これがいちばん日常に溶け込みやすいです。
「ご飯までの5分やってみよっか」「お風呂入る前に10分、明日の予習しちゃおう」「歯みがき終わったら3問だけやろう」——こんな声かけは、勉強だけを切り取らずに、生活のリズムの一部として組み込みます。お子さんも「あと5分で終わるなら」と切り替えやすいです。
時間が短いことが大事です。「30分やりなさい」より「5分だけやってみよう」の方が、お子さんは取りかかりやすいです。そして始めてしまえば、意外と10分・15分続けてしまうことも多いです。「最初の5分」のハードルを下げるのが、声かけのコツです。
5つの声かけ一覧(保存版)
- ① 「今日はどんな勉強してきたの?」(聞くフリで復習)
- ② 「これってどうやるんだっけ?」(教えてもらうフリで主体化)
- ③ 「今日も元気にがんばってきてね/帰ってきたら教えてね」(会話のネタに変える)
- ④ 「一緒にやろっか?」(勉強を遊びに変える)
- ⑤ 「ご飯までの5分やってみよっか」(時間×生活セット)
5つすべてを毎日使う必要はありません。お子さんに合いそうなものを1つか2つ、まず試してみてください。1週間続けてみると、お子さんの反応が少しずつ変わってくるはずです。それが「勉強しなさい」を卒業する、小さな一歩になります。
逆に、「これだけは絶対やめた方がいい」というNG言動もあります。次の章で正直にお伝えします。
やりがちなNG言動4つ|「勉強しなさい」と同じくらい逆効果になる関わり

「勉強しなさい」を減らそうとがんばっていても、ふとした瞬間に別の形で命令や否定が出てしまうことがあります。たけのり先生が現場で見てきた、「勉強しなさい」と同じくらい逆効果になりやすい4つの言動を、正直にお伝えします。
ただ、最初に申し上げたいのは、これらを「やってしまう」のは、本当に自然なことだということ。たけのり先生も親として、未だに言ってしまう日があります。だから「やめなきゃ」と自分を追い詰めず、「ああ今日言っちゃったな、明日は減らそう」くらいの気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。
NG①「まだやってないの!」
たけのり先生の感覚では、これは「勉強しなさい!」と同じくらい言ってしまいがちで、同じくらい逆効果な言葉です。
なぜなら——お子さんは、自分がまだやっていないことを分かっています。怒られることも、分かっています。後ろめたさを感じながら、それでも今すぐ動けないでいる状態に、「まだやってないの!」と追い討ちをかけられる。これは、自分が悪いと分かっていても、心が凹みます。
そして「まだやってないの!」は、お子さんに「自分は怠け者だ」「ダメな子なんだ」というメッセージを送ります。何度も言われると、お子さんの自己肯定感が少しずつ削られていく。これが、いちばん怖い副作用です。
では、どう言い換えるか。たけのり先生がおすすめするのは、こんな言葉です。
- 「あと何分以内にやっちゃおうか?」(時間を本人に決めてもらう)
- 「ご飯までに終わらせよう、一緒にカウントダウンする?」(楽しい形にする)
- 「今日はちょっと疲れてる?じゃあ明日早めにやろうか」(休む選択肢も与える)
同じ「やってほしい」気持ちでも、言葉が変わるだけで、お子さんの受け止め方が大きく変わります。
NG② 感情任せに怒る
これは、いちばん難しいNGです。なぜなら、感情はコントロールしようとしても、勝手に湧き上がってくるからです。たけのり先生も、自分の子どもに対しては、未だに感情で怒ってしまう日があります。
ただ、感情任せの怒りには、勉強そのものを「怖いもの」にしてしまうリスクがあります。お子さんは「勉強=親に怒られるもの」と結びつけて覚えてしまい、勉強に向かう気持ち自体が削られていきます。
感情任せに怒ってしまった日は、こんな対処をおすすめします。
- 怒ったあと、短く謝る:「さっきは言い過ぎたね、ごめん」だけでOK
- 怒った理由を冷静に伝える:「心配だったんだ」と気持ちの背景を伝える
- 翌日、いつも通り接する:引きずらない、根に持たない
完璧な親になる必要はありません。怒ってしまっても、その後の対応で関係は十分に回復します。「私は怒らない親でいよう」と決めるより、「怒ってしまったらどう戻すか」を決めておく方が、現実的で楽です。
NG③ 他の子と比べる
「お兄ちゃんはできたのに」「○○ちゃんはもう九九言えるって」「クラスの子は塾に通ってるよ」——比較の言葉は、ほぼ確実に逆効果です。
お子さんに「あなたは他の子より劣っている」と伝えるメッセージになるからです。比較されたお子さんは、奮起するどころか、「自分はダメなんだ」と自己肯定感を失います。そして、その怒りや悲しみが、家庭の中で爆発することもあります。
もし「他の子と比べそう」になったら、こう言い換えてみてください。
- 「先週より、字がきれいになったね」(過去の本人と比較)
- 「○○くんはすごいね、で、うちは何が得意かな?」(他の子は他の子、と切り離す)
- 「あなたのペースで進めば大丈夫」(焦らせない)
比較の対象は、他の子ではなく、「過去のお子さん自身」が一番です。小さな成長を見つけて、言葉にしてあげてください。
NG④ 罰やご褒美で動かす
「勉強しないならゲーム禁止」「テスト100点取ったらおもちゃ買ってあげる」——どちらも、よく使われる手です。短期的には効くこともあります。でも、長期的には「外側からの動機」でしか動かない子を育ててしまう可能性があります。
罰でやらされる勉強は、罰がなくなった瞬間にやらなくなります。ご褒美で動く勉強も、ご褒美がもらえなくなった瞬間に止まります。本当に育てたいのは、「内側から学びたい」と思える子のはずです。
ご褒美を完全に禁止する必要はありませんが、こんな使い分けがおすすめです。
- 大きな節目だけ:「1学期がんばったね、ご褒美に旅行行こう」のような区切りの祝い
- 結果ではなく、過程をほめる:「100点だから」ではなく「毎日コツコツやったから」
- 罰は使わない:「やらなかったら○○禁止」は使わない。代わりに「やったら○○できるよ」と前向きに
「自分からやる」習慣が育つまでには、親御さんからの根気強いアプローチが必要です。命令・感情・比較・罰、すべて「お互いのため」になりません。代わりの声かけと、3段階モデルで、ゆっくりと進めていきましょう。
言葉だけだとイメージしにくいので、次の章で、KSJで実際にあった「変わったご家庭」のストーリーをお伝えします。
770名の現場から|S君(小4)が変わった、あるご家庭のストーリー

言葉だけでは伝わりにくいので、たけのり先生がよく覚えているKSJの実例を一つ、ご家族の許可をいただいた範囲でお話しします。プライバシーに配慮して、お名前と細かな状況はぼかしています。
きっかけ|爆発したS君と、反省するお母さま
小学校4年生のS君(仮名)は、KSJに入会してきた当初、すでにご家庭の中で大変な状態でした。お母さまは、お子さんへの愛情が深いあまり、何でも命令口調で言ってしまうタイプの方でした。「片付けなさい」「ご飯食べなさい」「勉強しなさい」「テレビ消しなさい」——朝から晩まで、命令と注意が続く毎日。
低学年のうちは、S君はそれでも素直に従っていました。ところが、小学4年生になってある日、S君が突然爆発しました。「うるさい!」「ほっといて!」「ママなんか嫌い!」と暴言が増え、宿題は手をつけず、ゲームばかりになりました。お母さまは、ご相談くださった時、いつも泣きそうな声でした。「言い過ぎたって、毎日反省してるんです。でも、また朝になったら同じこと言ってしまうんです」と。
最初の一歩|Zoomで「学校の話」から始める
たけのり先生がまずやったのは、S君と1対1でZoomで話す時間を作ることでした。そろばんの指導としてではなく、ただの会話の時間として。
「S君、今日学校どうだった?」「給食何だった?」「友達と何して遊んだ?」——本当に他愛もない話です。最初の数回は、S君もぶっきらぼうな返事ばかりでした。でも、3回目、4回目と続けるうちに、少しずつ自分から話してくれるようになりました。
そのうち、こんな話も出てきました。「今日の算数の問題、難しかった」「漢字テストで90点取れた」。たけのり先生は、「すごいね、その問題ちょっと見せて?」と興味を持って聞きました。S君は、自分から学校の宿題を見せてくれるようになりました。KSJはそろばん教室なのに、学校の宿題のLINEがどんどん送られてくる——たけのり先生の確認作業は大変ですが、それも嬉しい大変さでした。
転換点|お母さまが「命令」から「見守り」へ
並行して、お母さまにもお願いをしました。「S君が自分で勉強したら、たけのり先生にプリントの写真を送ってください。叱るためじゃなく、ほめるネタとして使いますから」と。
これがいい方向に進みました。お母さまは「勉強しなさい!」と命令する代わりに、S君が自分でやったプリントを写真に撮って送る、という「見守りの行為」を担当することになりました。命令しなくても、お子さんの勉強が把握できる。お母さま自身の心も少し楽になっていきました。
そしてたけのり先生は、送られてきたプリントに対して、「S君、これ難しい問題よくできたね!」「字、前よりきれいになったよ」と返信を送りました。すると、S君は自分から「これも頑張った!」と次のプリントを送ってくるようになりました。命令されてやる勉強から、ほめられたい勉強へ。動機が完全に切り替わった瞬間でした。
現在|反抗はほぼなくなり、親子関係も修復
このやり取りを半年ほど続けて、S君は驚くほど変わりました。
- 暴言がほぼなくなった
- 朝練LINEを自分から送ってくるようになった
- 学校の宿題も「ねえママ、これ見て」と自分から見せる
- そろばんの級も、半年で2つ進んだ
- お母さまとの会話が増えた
お母さまは、最近のメッセージで「今でも時々『勉強しなさい』を言っちゃうんですけど、前みたいに爆発しないし、私自身もそんなに焦らなくなりました」とおっしゃっていました。完璧にゼロになることが目的ではありません。命令の量が減って、見守りの量が増える。それだけでも、親子の空気は大きく変わります。
このストーリーから伝えたい3つのこと
- 命令口調は、いつか必ずどこかで反動が来る(S君は小4で爆発、でも他の子は中学・高校で爆発することも)
- 第三者の関わりが、親子の空気を変えることがある(そろばんの先生でも、おじいちゃん・おばあちゃんでも、誰かが「ほめる役」になれると親は楽になる)
- 「完璧な親」になる必要はない(時々命令しても、トータルで見守りが多ければ、お子さんは育つ)
S君のお母さまが、たけのり先生におっしゃってくれた言葉が、忘れられません。「今は、宿題やってる時のうちの子の表情が、楽しそうなんです」。これが、この記事でいちばんお伝えしたかった、本当のゴールです。
「勉強しなさい」を減らすことは、目的ではありません。目的は、お子さんが勉強を「楽しい時間」「自分のためのもの」と感じられるようになることです。そして、そのためには、まず保護者の方ご自身が「私も完璧じゃないけど、ちょっとずつ変えていこう」と思える状態であることが大事です。次の章で、たけのり先生自身の「言いたくなる瞬間」を、正直にお話しします。
たけのり先生だって「勉強しなさい」と言いたくなる|現役の先生の本音

ここまで読んでくださって、もしかしたら「たけのり先生は、すごく落ち着いた完璧な先生なんだろうな」と感じている方もいるかもしれません。ここで、正直に告白させてください。
たけのり先生は、子どもの頃「普通よりちょっと下くらいの出来の悪い子」でした。勉強もそんなに得意ではなかったし、いまでも忘れ物は多いし、未だに「あれやらなきゃ」を後回しにします。完璧な人間ではまったくありません。
そして、現役の先生として770名のお子さんを指導していても、私自身の子どもに対しては「めっちゃ命令口調で言いたくなる瞬間」が、本当によくあります。「片付けなさい!」「お風呂入りなさい!」「勉強しなさい!」と、頭の中で叫んでいる日も、毎週のようにあります。だから、この記事を読んでくださっている保護者の方の気持ちが、痛いほどわかります。
「言いたくなる瞬間」がよく来るシーン
たけのり先生がよく「言いたくなる」のは、こんな場面です。たぶん、多くの保護者の方も同じだと思います。
- 夕方、何度声をかけてもゲームをやめない時
- 朝、出る5分前なのに、まだ準備が終わっていない時
- テストの結果が、本人の力より低い時
- 「やる」と約束したことを、結局やらなかった時
- 他の子と比べて「うちは…」と不安が湧いてくる時
こういう場面で、命令口調が口から飛び出しそうになります。そして実際、出てしまうこともあります。先生だからって、聖人君子ではありません。
それでも、たけのり先生が意識してやっていること
ただ、25年の指導現場で「命令口調の反動」を何度も見てきたので、自分の中でブレーキを踏む意識は、それなりにあります。たけのり先生が、自分自身に対してやっている3つの工夫をお伝えします。
- ① 命令形を、質問形・提案形に変換する:「片付けなさい」を「あと何分で片付ける?」に。「勉強しなさい」を「今日はどんな勉強する予定?」に
- ② 自分の感情を、子どもにぶつけない:イライラしている時は、深呼吸して数秒待つ。それでも怒ってしまったら、後で「ごめんね」と短く謝る
- ③ 「分からないフリ」をして、教えてもらう:これがいちばん効きやすい。子どもは、教える側に立つと不思議と背筋が伸びます
もちろん、これも完璧にはできません。「今日もできなかった」と落ち込む日もあります。でも、3割でもできれば十分です。たけのり先生は、自分にそう言い聞かせています。
「完璧な親」にならなくていい
この章でいちばんお伝えしたいのは、これです。完璧な親にならなくて大丈夫。たけのり先生も完璧ではありません。代わりの声かけが上手な日もあれば、感情で怒ってしまう日もあります。命令ゼロの家庭なんて、ほぼ存在しません。
大事なのは、「言ってしまった」より「言わなくて済んだ」の方を、少しずつ増やしていくこと。今日10回言ったなら、明日は9回にできたらOK。来週は8回。1か月後は5回。そうやって、ゆっくり減らしていけばいいんです。
そして、命令してしまった日も、自分を責めすぎないでください。お子さんは、親が「気にかけてくれている」ことを、ちゃんと感じています。怒ってしまった夜でも、寝る前に「今日もありがとう」と一言声をかけられたら、お子さんの心は十分回復します。完璧さより、関係そのものが大事です。
子育てで悩んでいる保護者の方は、ぜひ子育てにイライラする自分が嫌いと感じた時の関わり方もあわせて読んでみてください。「言いたくなる気持ち」をどう扱うか、もう少し深くお話しています。
次の章では、KSJで実際に効いている「親子コミュニケーションの仕組み」をお伝えします。朝練LINEを軸にした、命令を減らせる仕掛けです。
KSJの「朝練LINE」が、命令を減らす親子コミュニケーション設計

KSJの朝は、約80件のLINEから始まります。
お子さんが朝、そろばんの練習をしてプリントを写真に撮り、たけのり先生のLINEに送る。私はそれを一人ずつ採点して、コメントを添えて返信する。お母さま・お父さまもこのLINEのやり取りを横で見守れる——これがKSJの「朝練LINE」という仕組みです。
一見、ただの「練習のチェック」に見えますが、実はこの仕組みが「勉強しなさい」と言わなくて済む家庭づくりに、強く効いています。なぜか、その理由を3つお話しします。
理由①「第三者の目」があると、命令が減る
親子だけの関係だと、命令と反発の構図になりやすいです。「ママに言われたからやる/やらない」の二択になってしまうからです。
でも、たけのり先生のような第三者が定期的に関わると、構図が変わります。お子さんは「ママのためじゃなく、先生に見せるためにやる」という新しい動機が生まれます。「先生にほめられたい」「先生に変なところ見せたくない」——これが、命令されない自走の最初の一歩になります。
同時に、保護者の方も「命令しなくても、先生がほめてくれている」という余裕が生まれます。命令の必要性自体が減ります。これが、KSJで「勉強しなさい」を言わなくなったご家庭の、いちばん多いパターンです。
理由②「ほめてもらえる場」が、子どもの動機を切り替える
多くのご家庭で、お子さんは「家でほめられる機会」が少なくなっています。これは保護者の方が悪いわけではなく、毎日の慌ただしさの中では、どうしても「できていないこと」の方が目につくからです。「字が汚い」「計算が遅い」「間違いが多い」と気づいてしまう。
たけのり先生は、朝練LINEのプリント1枚ずつに「字が前よりきれいだね」「ここの計算、すごく早くなったね」「ミスが減ってきたね」と、必ず1つはほめポイントを見つけて書き添えます。770名分やるので大変ですが、これが効きます。お子さんは、ほめられるとまた頑張りたくなる。これは脳の仕組みです。
家庭で命令を減らす代わりに、「ほめてもらえる場」を1つでも作ること。それがそろばん教室でも、スイミングでも、おじいちゃんおばあちゃんとの関係でも構いません。お子さんが「ほめられた経験」を持てる場所を増やすと、家庭の中の命令の必要性が自然と減っていきます。
理由③「見える化」で、命令が要らなくなる
「勉強しなさい!」と言いたくなる多くの場面で、本当の原因は「お子さんが勉強しているかどうか、親が見えていない」ことだったりします。見えないから心配。心配だから声をかける。声をかけるたびに「うるさい」と反発される。この悪循環です。
朝練LINEは、お子さんの勉強状況を毎日「写真」で見える化します。今日はちゃんとやっている、今週は何枚進んだ、字が少し丁寧になってきた——これがわかると、保護者の方は安心します。安心すると、命令する必要が減ります。
これはそろばんに限った話ではありません。学校の宿題でも、家庭学習でも、「見える化」する仕掛けを1つ作るだけで、命令の量は確実に減ります。たとえば、終わった宿題をボックスに入れる、できたページにシールを貼る、毎週のノートを冷蔵庫に貼る——どれでもOKです。お子さんの「やった」が見えれば、親の不安は和らぎます。
ご家庭で取り入れられる工夫
KSJの仕組みをそのまま真似する必要はありません。お家でできる、似た工夫を3つご紹介します。
- 家族グループLINEに「がんばったプリント」を送る:おじいちゃん・おばあちゃんがほめ役になってくれます
- 1週間のがんばりを冷蔵庫に貼る:見える化+家族みんなで見守る形に
- 外部の習い事を1つ用意する:そろばん・水泳・ピアノなど、ほめてくれる先生がいる場所を作る
家庭の中だけで「命令しない子育て」をやるのは、本当に難しいです。だからこそ、外の力を借りるのが現実的です。お子さんが頑張れる場所、ほめてもらえる人を、1つでも増やしてあげてください。それが「勉強しなさい」を減らす、いちばん遠回りで、いちばん確実な道のりです。
もし「お子さんに合う場所を、まだ見つけられていないな」と感じる方は、オンラインそろばん完全ガイドもあわせてご覧ください。世界26ヶ国・770名のお子さんが学んでいる教室の中身を、詳しくお伝えしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「勉強しなさい」を言わないと、本当に勉強しなくなりませんか?
いきなり完全に言わなくすると、最初の数日〜数週間は勉強量が減るお子さんが多いです。ただし、これは「勉強嫌いになった」のではなく、これまで命令で動いていた状態から、自分で動く状態に切り替わる移行期です。その間に、本記事の3段階モデルやスケジュールづくり、5つの代わりの声かけを試していくと、少しずつ自走に近づいていきます。半年〜1年スパンで考えていただけたら、焦らずに済みます。
Q2. 何歳から命令口調を減らすべきですか?
早ければ早いほど、お子さんにも親御さんにも楽です。年中・年長さんでも「あと何分でお片付けできる?」のような提案形を使うと、お子さんは「自分で決めた」感覚を持てます。とはいえ「もう小学校高学年になってしまった」「すでに中学生」というご家庭でも、遅すぎることはありません。今日から「代わりの声かけ」を1つ試すだけで、関係性は少しずつ変わっていきます。
Q3. うちの子はもう中学生で、反抗期に入っています。手遅れですか?
手遅れではありません。むしろ反抗期は、お子さんが「自分の意思を持ち始めている」サインで、自走への移行期でもあります。中学生のお子さんには、命令ではなく「相談」や「対話」の形が効きやすいです。「テスト前、どう進める?」「次の検定、いつ受ける?」とお子さん本人に判断を委ねる場面を増やしていくと、少しずつ関係が落ち着いていくご家庭が多いです。本記事のS君のケースも、変化が見えるまで半年ほどかかりました。じっくりと進めてください。
Q4. パパとママで方針が違います。どうすればいいですか?
これはとても多いご相談です。完全に方針を揃える必要はありません。むしろ、お子さんから見て「片方は厳しめ、片方はゆるめ」の方が、心の逃げ場ができてバランスが取れる場合もあります。大切なのは、お互いの方針をけなさないこと。「パパの言うことは聞かなくていい」「ママは甘いから」と否定し合うと、お子さんが混乱します。異なる関わり方でも、お互いをリスペクトする姿勢を見せるだけで、ご家庭の空気は安定します。
Q5. 兄弟・姉妹で性格が違います。同じ関わり方でいいですか?
お子さんが2人以上いるご家庭では、同じ関わり方が両方に合うとは限りません。お兄ちゃん・お姉ちゃんに効いた声かけが、下のお子さんには効かないこともよくあります。それぞれのお子さんの性格に合わせて、声かけや関わり方を変えていって大丈夫です。「同じ親なのに、なぜか違うアプローチが必要」——それは、お子さんの個性を尊重している証拠です。比較せず、それぞれに合う関わり方を探していってください。
Q6. ご褒美やお小遣いで動かすのはダメですか?
完全にダメというわけではありません。ただし、毎回・小さな勉強ごとにご褒美を出すと、「ご褒美がないとやらない子」になりやすいです。おすすめは、大きな節目だけにご褒美を使う方法です(「1学期がんばったね、家族で旅行行こう」「検定合格おめでとう、お祝いしよう」など)。日常の勉強では、ご褒美ではなく「言葉のほめ」と「見守り」をメインに使うと、内側からの動機が育ちやすくなります。
Q7. 共働きで時間がありません。それでも実践できますか?
共働きのご家庭こそ、本記事の「3段階モデル」と「代わりの声かけ」は効きやすいです。なぜなら、命令で動かす方法は、毎日付きっきりで監視するエネルギーが必要だからです。それより、最初にスケジュールを一緒に作って、あとは「見える化」で見守るほうが、長い目で見て楽です。朝の5分・夜の10分でも、「今日どうだった?」と聞く時間を作るだけで十分です。完璧を目指さず、できる範囲で続けてみてください。
最後に|たけのり先生から、いま「勉強しなさい」と言いたくなっている保護者の方へ

長い記事を、最後まで読んでくださってありがとうございます。
正直に言えば、お子さんに「やれ」と言ったのにやっていなかったら、めっちゃ怒りたくなります。めっちゃ命令したくなります。誰でもそうです。たけのり先生もそうですし、KSJで「言わなくなりました」とお話しされているお母さま方も、心の中では今でも言いたくなっています。全員、そうです。
でも、全員がそうだからといって、それをやっていいわけでもありません。目の前にいる「あなたのお子さん」をどう導くか、考えられるのはパパとママだけです。学校の先生も、塾の先生も、たけのり先生も、お子さんの一部分しか見ていません。家庭の中での日常を、本当に知っているのは、保護者の方だけです。
だから、ぜひ「うちの子だったら、こんな方法がいいかも?」と楽しみながら、色々試してみてほしいと思います。よその家のお子さんに効いた方法が、わが子に合うとは限りません。逆に、他のお子さんがまったくダメだったことが、わが子にはピッタリはまることもあります。お子さんは、世界に一人だけの存在です。「教科書通り」の答えはありません。
SNS・ネット・他の子ではなく、目の前のわが子を見て
子育ての情報があふれる時代だからこそ、保護者の方が見るべきは、SNSやネットや他の子ではなく、いつも目の前にいるわが子です。
SNSで「うちの子、もう九九言えるようになった」という投稿を見ると、不安になります。「他の子は塾に通って成績が上がった」と聞くと、焦ります。でも、その情報の99%は、あなたのお子さんとは関係ありません。あなたのお子さんに合うペースと方法は、お子さん自身が一番よく知っています。
お子さんの表情、声のトーン、宿題に向かう時の様子、寝る前にぽつりと言った一言——そこに、「答えという名の宝箱」が眠っているかもしれません。たけのり先生は、25年間、770名のお子さんを見てきて、最後にいつもそう思うんです。
「言わなくて済む家庭」までの道のり、一緒に歩きましょう
「勉強しなさい」を完全になくす必要はありません。減らせばいい。完璧でなくていい。今日言ってしまった日があっても、明日少しでも減らせたらOK。そうやって、ゆっくりと、お子さんと一緒に成長していけば、それで十分です。
もし、ご家庭の中だけでは難しいと感じたら、外の力を頼ってください。そろばん教室でも、習い事でも、おじいちゃん・おばあちゃんでも、誰かもう一人「お子さんを見ている人」を増やすだけで、保護者の方の心はぐっと楽になります。たけのり先生も、KSJの770名の生徒さんに対して、その「もう一人の応援団」になれたら嬉しいです。
長い記事になってしまいましたが、これがたけのり先生からの、いま「勉強しなさい」と言いたくなっているすべての保護者の方への、心からのメッセージです。あなたは、決してダメな親ではありません。むしろ、ここまで読んでくださった時点で、お子さんのことを真剣に考えている素敵な親御さんです。どうか、ご自分を責めすぎず、ゆっくり進んでいってくださいね。
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